- ジェイムス・マシュー・バリ『ピーターパンとウェンディ』(Katokt訳)を公開しました。
まず、本文から除去してしまった Katokt さんによるあとがきを引用:
後書き
まずは訳の感謝から、武井さん、結城さん、枯葉さんには訳において多大なる指摘をいただきました。また訳をはじめる動機の部分においてyomoyomoさん、それからプロジェクト杉田玄白の主催者でもある山形浩生さんにも感謝します。また青空文庫の富田さんにもいろいろな指摘やご尽力をいただきました。
作品と作家についても少しだけ。
作家は自分の着想を大事にするもんだねぇ。作者のバリは、ピーターパンに関連する5冊もの本(写真集と戯曲を含む)を書いている。
1901 ブラックレイク島少年漂流記
本文なしの写真だけの本で、バリみずからも「もしこの本を買う人がいれば、多分不平を言うだろう。だが世間には本文などないほうがましな本がいくらもある」だって1902 小さな白い鳥
バリ自身を思わせる中年の独身男を語り手とする私小説1904 ピーターパン(戯曲)
ご存知の演劇、チャップリンの出演やティンカーベルの演出などいろいろなエピソードにも事欠かない(詳しくは参考文献を)1906 ケンジントン公園のピーターパン
小さな白い鳥からピーターに関連する6つの章を抜粋1912 ピーターとウェンディ
この翻訳これらはいずれもケンジントン公園で知り合ったデイヴィス家の5兄弟(3番目の子の名前がピーター)との交流から書かれたもので、バリは生涯彼らと、病気、戦争や事故でその交流は悲劇的な色合いも帯びるが、密接な関わりを持って行くことになる。演劇などの成功で経済的にも文学的にも恵まれてはいたけれど、私生活では結婚はしたものの離婚して、子供もいなかったバリにしてみれば、その交流が心あたたまるものだったことは想像するに難くない。ピーターパンの全ての権利を小児病院に寄付しているし(その契約が有効で、本国のイギリスでは著作権の切れた今でもピーターパンはいわゆるパブリックドメインな文書ではないと思われる)本当に古きよき日のイギリス紳士といった感じである。
まあもっと詳しく知りたい方は「ピーターパン写真集」鈴木重敏、新書館なんかが、ピーターパンの演劇のエピソードもいろいろ盛り込まれていて面白いと思う。
この翻訳も作者にふさわしく、友達の子供の誕生日祝いにしてみました。まあ訳の出来はともかく、魔法のおなべから生まれたピーターパンをどうか愉しんでください。
これもまたオレの翻訳ではなくて、katokt さんが2000年に翻訳し、『ピーターパン』という題で公開したものです。プロジェクト杉田玄白の正式参加テキストであり、以前は青空文庫にも登録されていたけれど、2009年頃に Not Found になってしまったようで。
せっかくの全訳がこのまま消え去ってしまうのは少々もったいないと思うので、Wayback Machine を使って 2008年10月2日のアーカイブを元に回復しました。再利用の許諾条件は満たすと思うので、問題はないと思ってます(Katokt さんと連絡が取れれば話が早いのでしょうけれど)。
ついでなので、明らかなミスタイプを修正したり、マークアップを整理したり、青空文庫形式のテキストファイルを準備させていただきました。あと、ややこしいので題名を『ピーターパンとウェンディ』に変えています。
翻訳自体にはいまのところ手をつけきれていません。「いまのところ」というか、これについては今後語もありません。この話、個人的には苦手なんだ……。
ところで、『ピーターパン』関係は、たしか、本源国イギリスではまだ著作権が有効なので、若干取り扱いに注意が必要です。
とても魅力的な記事でした。
返信削除また遊びに来ます!!