2000/04/07

[ゲームレビュー] ラプラスの魔

旧「ぼやき部屋」から再録。

  • ジャンル:RPG
  • メーカー:ハミングバードソフト
  • ハード:SFC
  • プレイ状況:1回クリア, 25 hours
  • 一般的オススメ度:★★★
  • オレ的お気に入り度:★★★★

短評

 押しが弱いけど独特の雰囲気とシステムは秀逸。「ウィザードリィ」っぽい。アイテム集めはないですけど。

総評

 「ラプラスの魔」と続編「パラケルススの魔剣」を PC-98 でプレイできなかったのがオレとしては非常に心残りだったんですが、先日 SFC 版の「ラプラスの魔」をプレイしてみました。久しぶりに面白いなと思った RPG でした。まあ、いろいろ調べてみると SFC 版と大元である PC-88 版は全然違うゲームらしいんですけど。その辺を配慮して、ハードは SFC のみにしておきます。

 根本的には「ウィザードリィ」から連なる単一ダンジョン探索型の RPG。「ログイン」で画面写真を見たときは 3D だったから、やってみて 2D だったときはちょっと驚きました。まあ、自分の周囲しか見えないのである程度マッピングは必要なんですけどね。探索中に地図を拾えばマップ表示を出せますが。

 グループ SNE が絡んでるゲームの例に漏れず、テーブルトークっぽいシステムがとられてます。よって、「攻撃が当たりにくく、万が一連続で攻撃を受けるとすぐ死ぬ」ゲームです。と、ゲーム始めた頃は思ってたんですが、レベルが上がってくるといい意味での大味さが出てきます。また、経験値はクエストと戦闘の両方で得られますが、このさじ加減も結構うまい。戦闘での経験値は相当低いんですが、無意味ではない。その上、逃走(あるいは平和的交渉)に成功する可能性が非常に高いので、戦闘による経験値が無意味だと思う人は逃げ回ってもOKです。クエストによる経験値だけでも十分ですし。

 後先が逆になりましたけど、ストーリーの方を紹介しておきます。舞台は近代アメリカ(珍しい…)にある街、ニューカム。町外れにあるベネディクト館で怪異現象が発生しているのを聞きつけた主人公は、館の調査をすべくニューカムへやってきます。とまあこんな感じ。

 面白いのが資金集めの方法。敵はいくら倒しても金をくれません。依頼の達成の報酬で金を貰えることもあるんですが、当然ながら、安定した資金源にはなりえません。そこで、館で遭遇するモンスターの写真を撮って売りつけるという大胆なシステムが取られています。馬鹿っぽさは否めないですが、これ考え付いた人スゴイなあ。写真を撮るにはカメラを装備したジャーナリストをパーティーに組みこまないといけませんので、戦力は落ちます。金を取るか戦闘力をとるかというなかなか考えられたシステムです。

 欠点は、一応ホラー系に入れられると思うんですが、あんまり怖くないという点。元々恐怖を演出する気がないのかもしれませんが、その辺り非常に惜しい。これには色々な理由がありますが、要するに演出面が弱いため。単純に状況を説明するテキストが表示されて、その結果(ダメージ受けたとか最大MPが減ったとか)が出るのみ。率直に言って、「スウィートホーム」の方がはるかに上をいっています。

 あともうひとつ、「ウィザードリィ」と違い、はっきりしたストーリーがあって、それを追っていくタイプのゲームであるのに、主人公の存在感が物凄く薄い。途中でパーティーに参加する草壁健一郎の方がよほど主人公らしいです。というか、主人公の台詞より日下部の台詞の方が圧倒的に多い。自分の手で作り出した主人公がまるで脇役のような扱いを受けるのは虚しいものがあります。

 まあ、押しの弱いゲームであるのは否定しませんが、ゲームとしての完成度は高く評価しています。演出が平均的水準に達していれば、★5つ出したかもしれません。エンディングまでいった後「パラケルススの魔剣」をものすごくやってみたくなりましたし。

クラスについて

 レビュー中で触れてませんが、クラス制です。クラスレベル+スキルレベル+能力値でキャラクターの強さが決定されます。ウィザードリィにスキル足して転職と種族を削ったような感じと思ってもらえればいいかな。ただし、舞台がファンタジーではありませんので、主人公たちのクラスは目新しいものが多かったりします。というわけで、主人公が選択できるクラス+1を解説。

【探偵】 接近戦/銃器/手がかり/交渉
銃のスペシャリスト。HPの伸びが良いかわり、MPの伸びが悪い。精神攻撃であっさり発狂する恐れあり。また、物理攻撃しかできないため、MPにダメージを与える剣が登場するまでは精神体に対して無力。探偵専用の武器はあまり強力なものがない。育て方としてはひたすら「接近戦」を上げていくのが上策。「接近戦9」まで行けばかなり強い。が、それは別に探偵である必要がない。一見使えるようで、案外使えないクラスである。

【霊能者】 接近戦/心霊術/心理療法
精神攻撃を得意とする。普通の RPG でいう魔法使い。草壁のクラスも霊能者だが、ヤツはスペシャルであり例外。武器はナイフ、防具は初期装備のみと、装備面での制限が厳しい。心霊術はスキルアップにしたがって種類が増え、100%発動するので序盤は頼りになる。しかし、後半になって魔法が揃ってくるとコスト面の悪さが目につくようになってしまう。草壁が入ったところでお役御免になるであろう。育て方としてはひたすら「心霊術」を鍛えるという方針でいいだろう。

【科学者】 接近戦/機械/医療手当
心霊機械を使う。心霊機械はパーツの組み合わせで色々な効果が得られるが、同時に準備しておける効果は2種類だけである。序盤では、バッテリーを消費するだけで命中率100%の物理/精神攻撃を使い分けることができる最強クラス。ただし、後半になると威力不足と、2種類制限による応用性の低さが目立つ。剣装備可能だが銃は不可。防具は霊能者と同じく初期装備に限られる。とりあえず、「機械」を育てつつ、「接近戦」にも少し目を向けるという感じでいいだろう。

【ジャーナリスト】 接近戦/銃器/写真撮影/医療手当/手がかり/交渉
パーティーの資金源として最初から最後まで活躍するクラス。このクラスを育てていけば資金的な余裕ができる。写真撮影をおこないたければ武器の代わりにカメラを装備しておかなければならず、戦闘中の装備変更はできないため、つまるところ戦力としては論外、となる。が、意外なことに、ほとんどの武器とすべての防具を装備可能であるため、武器を持たせてもそこそこ役に立つ。フィルムがなくなったときのために「接近戦」も鍛えておきたい。「写真撮影」は6もあれば困らないだろう。10 まで上げてもピンボケするときはピンボケするもんなのである。戦闘外での活躍を重視するならば「交渉」も押さえておこう。

【ディレッタント】 接近戦/銃器/魔術/心理療法/手がかり/交渉
一応、魔術の専門家である。キャラクターメイキングで悩んだときは主人公のクラスはコレにしておくのがオススメ。探偵専用・草壁専用武器以外のすべての武器・防具を装備できるので、接近戦の能力は探偵に引けを取らない。それに加えて魔術を持つ、おいしいクラスである。魔術はスキルが低いと失敗が多く、魔導書を探索中に発見しないといけないため序盤は使えないが、「回復」のコストパフォーマンスは「心霊術」の「トリート」の2倍である。精神攻撃よりも物理攻撃の魔法が多いが、唯一の精神攻撃魔法「夜魔」は敵のMPを吸い取るというものであり、やはりコストパフォーマンス抜群。経験値的に苦しいが、「接近戦」と「魔術」を平行してあげていきたい。

【草壁】 接近戦/銃器/心霊術/心理療法/手がかり/交渉
クラスは「霊能者」になっているのだが、スキルを見ても分かるとおり、全然ルールに縛られていないスペシャルな存在である。装備制限はジャーナリストと同等、プラス専用装備の「日本刀」。通常の心霊術の他、「草壁スペシャル」を使うことができる(あまり使わないけど)。通常は「日本刀」なり「シルバーソード」なりでの物理攻撃を行い、場合によって防御系の心霊術を使うという感じでいいのではなかろうか。加入時のレベルが高めなので、スキルもすべて実用レベルである。まず「接近戦」9を目指し、その後「心霊術」を上げるのがオススメかな。

-Apr. 7th, 2000

関連商品

このセクションは再録時に追加しました。

あとは小説が角川スニーカー文庫から出ているはずなんですが……。

2000/04/05

[ゲームレビュー] マザー2 ギーグの逆襲

旧「がらくた玩具」から再録。

このレビューについては数多くの方におしかりをいただいており、再録対象外にしようかとも思ったのですが、反省をこめてあえて再録しました。内容にフェア精神を欠く部分がありますのでご注意ください。たとえば、「瞬殺」は、このゲームのシステム上は救済が可能ですので、そこまで非難すべきものではないといえます。

[ER] 旧がらくた玩具とゲームレビューというもののありようについての自戒というエントリも、あわせてご覧いただけたら重畳です。

  • ジャンル:RPG
  • メーカー:任天堂
  • ハード:SFC
  • プレイ状況:1回クリア, 25 hours
  • 一般的オススメ度:★★★
  • オレ的お気に入り度:★★

短評

 シュールというか、電波系というか。とりあえず、ゲームバランスは凶悪。

総評

 一部で人気のある「マザー」シリーズ第二弾。前作に引き続いて糸井重里プロデュース。

 このシリーズ、現代アメリカものという舞台設定が非常に珍しい RPG で、主人公たちもどこにでもいそうな少年少女(超能力とか持ってるけど…)が地球を救う物語を描いたものです。武器がバットだったりフライパンだったりしますが、システム自体はいたって普通です。

 なんにせよ、「女神転生」シリーズや「黒の剣」、「ゼルドナーシルト」といった、ダークでシリアスな世界観を愛するオレに、このゲームを高く評価しろというのが無理な話ということで。「マザー」好きな人はここから下見ない方がいいかと思うデス。

酷評

 まずストーリーなんですが、正直、ゲーム開始直後から戸惑いました。「おまえは運命に選ばれた云々」っていうくだりで。前作はそんなゲームじゃなかったと思うんですが、記憶違いかなあ。「現代アメリカ」「街とフィールドが同一マップ上に存在」「バットやフライパンが武器」「風邪や日射病というステータス異常」といったところで「日常性」や「非ゲーム性」を強く打ち出しているゲームであるはずなのに、「運命」を連呼するストーリー展開が親近感を木っ端微塵に打ち砕きます。

 ストーリーは、「お使いイベント」の多め。「お使い」であることを感じさせないほどの支離滅裂さははたして誉めるべきか責めるべきが難しいところ。個人的には、シュールさを通り越して電波系といわざるを得ないレベルに達していると思うんですが。主人公はいっさい喋らない「ドラゴンクエスト」型の設定であるにも関わらず、感情移入もできない。想像力も働かない。何か周りが勝手に騒いで話が進んでいくような印象を受けました。

 ラストボスも何だかなあ。前作の「歌う」で倒すという部分は「エンディングまで泣くんじゃない」というのが過言じゃないほど優しくてもの哀しい出来だったんだと思うんですが、今回は単なる勧善懲悪話に終わってしまってます。「主人公たちの無事を祈ってもらって倒す」ってどういうことですか?

 続いてゲームバランスなんですが、こちらもヒドイもんです。前作のひどさをきっちり踏襲した感じ。何がヒドイかって、敵の特殊攻撃の発動率・成功率が高すぎでしょう。逃走に成功する可能性は低めなので戦っていかざるを得ないんですが、ステータス異常攻撃はほぼ 100% 食らいます。アイテム管理も「ドラゴンクエスト」型の「一人X個制限・武器防具含む」式なので回復アイテムで押しきると言うこともできず、先に倒すかステータス異常くらうか運勝負のになりがち。特にひどいのは「キノコが生えている」でしょうね。時々味方を攻撃するという致命的なステータス異常でありながら、アイテム・PSIによる回復はできず、街まで帰らないといけなくなります。

 さらに終盤になると一撃死の嵐が吹き荒れます。代表的なもので言えば、スターマン・センゾのPKスターストームα。主人公しか生き残りません。ダメージによる死亡はHPカウンターが0になる前に回復できればセーフというのが救いですけどね。サイコシールドΣで無効化できないこともないし。とは言え、ザコ戦でPPをむやみに浪費させるのはあまり誉められたことじゃないと思うんですけどねえ。

 ボスに関してもそう。大抵が「一撃必殺級の攻撃力」「全体にステータス異常」「単体に即死級ステータス異常」の少なくともひとつを備えているので運次第ではあっさり全滅です。おまけに、レベルアップ時の成長に非常識な偏りがあって、レベルアップによる成長が当てにできません。いちばんヒドイと思ったのは「ネスの悪魔」かなあ。これ、ネス(主人公)ひとりで戦うことになるんですが、一人しかいねえんだから即死攻撃はよせっつーの。光学系即死攻撃を防ぐはずの「大地のペンダント」装備だったにも関わらず、4回挑んだ中2回PKフラッシュで瞬殺されました。おまけにPKケント(設定可能)Ωで700ダメージ。この時点で主人公のHPは500でした。

 RPG をそれなりの数やってきて、ここまで全滅したゲームというのもなかなかないなあ。高難易度とかそういう次元の問題じゃなくって。あと、生理的不快感に訴えるモノ(やたら気合の入ったゲップのサンプリングとか、癲癇起こすぞそりゃという画面効果とか)も多く、個人的には二度とやりたくないゲームとして記憶されています。

-Apr. 5th, 2000

2000/04/02

[ゲームレビュー] 探偵 神宮寺三郎「夢の終わりに」

旧「がらくた玩具」から再録。

  • ジャンル:ADV
  • メーカー:データイースト
  • ハード:PS [SS]
  • プレイ状況:全ルート踏査, 10 hours
  • 一般的オススメ度:★★★★★
  • オレ的お気に入り度:★★★★★

短評

 「ファミコン探偵倶楽部」とは対極の位置にある名作。ジャケ買いしても損はない。

総評

 神宮寺三郎シリーズ第六作。「未完のルポ」のレビューで書いたとおり、兄に薦められて買ったものです。一年以上たってるのになかなか値段がさがらなくて二の足を踏んでたんですけど、もうこれ以上は下がらないだろうと思って、2,980 で手を打つことにしました。ちなみに、その日「黒の剣」は売りきれていました。そこはかとなく嬉しかったり。

 システム的には相変わらずのコマンド選択式です。それと、「未完のルポ」から採用されているザッピング。今回は神宮寺、洋子、熊野というお決まりのメンバー+美貴(被害者の妹)という4つの視点でストーリーが展開します。与野のジャーナリストとしての視点は好きだったんだけどなあ。オレが叩いた尾行モードはなくなりました。その代わり、現場検証などの時の捜索モード、および最近の推理 ADV で流行の推理モードが追加されています。まあ、話をうまい具合にまとめてくれる推理モードはともかく、捜索モードの方は存在意義に疑問符がつきますけれども。

 さてさて、要するにシステム面では特に見るものもないといってしまえるわけなんですが、「未完のルポ」で SFC 級と切り捨ててしまえた演出面が桁違いに強化されています。「未完のルポ」がアレだったんで、あんまり期待せずに電源を入れたんですが、オープニングデモが始まった瞬間、期待をはるかに超えるできであることが判明。

 このムービー、神宮寺が銃を撃つシーンを描いたもので、「ん?」と思わせるものがあるんですが(でもゲーム始めるまで洋子だと気付かなかった…この人顔と髪型変わりすぎ)、本編中にこういうシーンがあるんかなあと思いつつ始めると、いきなり「神宮寺が見ている夢だった」ということがわかります。でも、本作のタイトルは「夢の終わりに」ということで、この夢がゲームのクライマックスで絡んできます。

 ストーリー的には麻薬を扱ったものなんですが、もっと根本的なところをつくと、犯人を含む登場人物たち、ひいてはあるゆる人々が描いている「夢」と、その終わりに何を見るのかというものをテーマにしたものと言えます。話の進め方も非常にテンポがいいし、その展開もうまい。ちょっとネタバレを避けつつ例をあげます。神宮寺が犯人を追って山中湖の調査をする一日があります。このシーン、どう進めてもなんの手がかりも得られません。次の日、もっともおそれていた事態が発生します。その少し前に語られる思い出話のこともあって、ものすごくオレに不安感を与えてくれました。「ゲームなんだし」とか「薫殿理論があるだろ?」とか理性では分かっているんですけど、「シリーズで始めて語られるころの話」→「調査失敗」という流れが不安をかきたてるんです。久しぶりにゲームのストーリーを冷めた目で見ていないオレがそこにはいました。

 全体的に見て、ジャケットに書かれているとおり、「新生神宮寺」です。これまでのシリーズもゲームとして水準以上の出来ではあるんですが、「夢の終わりに」はスケールが桁違いに大きくなっています。「夢の終わりに朝が来る。ただ、それだけのことなのかもしれない」というエンディングでの言葉を借りるとすれば、「中央公園殺人事件」~「未完のルポ」まで見ていた「ゲーム」という「夢」がようやくここに終わったのかもしれません。そんな感想を覚えた「夢の終わりに」でした。

 蛇足ですが、音楽関係も相当なもんです。ジャズとゲームミュージックを7:3で混ぜて適度に水で割った感じ。うまいこと薄められているのでBGMとして耳につきません。洋子編のピアノトリオなんか結構いい味が出てると思うんだけど、どんなもんでしょうね。あと、ゲームに主題歌を持たせることに批判的なオレが、珍しくあってよかったと思う主題歌「真昼の三日月」でした。「ナイツ」以来かな、ゲームの歌がいいなと思ったの。「Eyes On Me」はオレ日本人だから脚下。

-Apr. 2nd, 2000

関連商品

このセクションは再録時に追加しました。