1999/06/06

[ゲームレビュー] ゼルドナーシルト special

「がらくた玩具」から再録。

  • ジャンル:SRPG
  • メーカー:コーエー
  • ハード:PS [SS]
  • プレイ状況: 一回クリア / プレイ時間:45時間
  • 一般的オススメ度:★★★★
  • オレ的お気に入り度:★★★★★

短評

 最近のSRPGに飽きたという人にオススメ。割と斬新。

総評

 熱いです。なんせ、主人公の一人称が「自分」だもん。「自分も会いたい。構わないだろう?」。一人称が「ボク」の女性キャラよりもある意味怖いものがありますね。

 さて真面目に説明。主人公は非道な傭兵に養父を殺された孤児。で、拾ってくれたシュタインドルフという傭兵隊長の下で傭兵として働きます。このシュタインドルフという人は戦乱の世に心を痛めている珍しい傭兵で、どこかの国に大陸を統一させることで戦乱を終結させようと考えています。その思想に共鳴した主人公はシュタインドルフの死後、ティーグル傭兵団を引き継いで戦うわけです。ここまでは一本道。ここからの展開はプレイヤーの自由です。まあ、結局は「どこの国に味方するか」という程度の自由ですが。

 このゲームの特徴は、「集団戦」にあります。プレイヤーは最大6個の中隊(中隊は3個小隊78人で構成)を操ります。それで、中隊と中隊の戦闘は集団戦で解決されます。小隊にはそれぞれ兵種が設定されていて(歩兵、騎兵、槍兵、弓兵、神聖兵、暗黒兵)、それぞれが弱点を持っています。そこで、その弱点を補うような組み合わせで中隊を編成するわけです。具体的に弱点を説明すると:

  • 歩兵は槍兵に強く、騎兵に弱い。
  • 騎兵は歩兵に強く、槍兵に弱い。
  • 槍兵は騎兵に強く、歩兵に弱い。
  • 弓兵は遠距離攻撃ができるが、接近戦の能力は皆無。
  • 神聖兵(ゴーレム)は暗黒兵に強いが、指揮官の魔法攻撃に弱い。
  • 暗黒兵(アンデッド)は指揮官の魔法攻撃に強いが、神聖兵に弱い。

 だから、例えば中隊長(固定)が騎兵の場合、その弱点を補うために「騎兵(中隊長)・歩兵・弓兵」という風に中隊を編成します。こうすることで、槍兵が前列の中隊と戦闘になっても、歩兵を前列に上げることで有利な戦闘を展開できます。こう書くと簡単そうですが、基本的に自軍が不利な状況(質量ともに)の戦闘が多いため、それを補う魔法を有効に活用しなければなりません。使える魔法は指揮官ごとに異なりますから、ここでも中隊全体のバランスを考えた小隊編成をする必要が出てきます。「攻撃魔法・補助魔法・回復魔法」と組み合わせるのが基本ですね。しかし、完璧にバランスのとれた中隊を6個も編成するのは本当に大変です。

 さて、集団戦の話。これは他のSRPGにおける「****の攻撃。**のダメージを与えた。%%%%の反撃…」というシーンに相当します。このゲームはそんなに単純ではなくて、プレイヤーの指揮次第で結果に大きな違いができます。下せる命令は基本的に「前進・後退・交代・弓攻撃・魔法」の5種類。命令を下すには行動ポイントが必要で、行動ポイントは集団戦の進行につれて溜まっていきます。あ、書き忘れましたが、部隊の配置は一次元的で、簡単に言うと「敵後列・敵中列・敵前列・味方前列・味方中列・味方後列」と並んでいるのを「交代」を使って組み替えます。側面を衝かれたり包囲されたりということはいっさいありません(だから、26人の小隊と小隊長のみの小隊が接触しても基本的に1対1)。この辺りはわりともどかしいですけどね。「たかが一人にてこずってんじゃねえ!」と。

 ま、いっきにこれだけの量の文章が書けてしまうくらいの深さがありますんで、そういうのを研究してみるのが好きな人は是非がんばってくださいな。まだまだ書き足りないといえば書き足りないけどさ。

戦略論

【暗黒兵】 最強のユニットは間違いなく暗黒兵です。接近戦に強く、苦手兵種は神聖兵のみ。しかも、暗黒兵の指揮官は強力な全体攻撃魔法を使いこなすので、神聖兵で戦おうものなら一瞬で壊滅させられてしまいます。つまり、事実上「弱点なし」なわけです。特に暗黒傭兵団のスマイリーは最強の攻撃魔法「インフェルノ」を使ってきますので、ダメージを受けている中隊だと一瞬で全滅することすらあります。暗黒兵と戦うときは、1)損害を覚悟で戦う。2)ターンアンデットの二つの選択肢しかなく、当然2)をとるべきです。ターンアンデッドが使える指揮官はユリア(弓)・ミュンツァー(槍)の二人。つまり、この二人のどちらかがいる中隊を暗黒兵の中隊にぶつけましょう。付け加えますと、ターンアンデッドとコンフューズ(命令禁止)系の魔法を組み合わせると凶悪さが倍増します。召喚兵ユニット(神聖兵・暗黒兵)は前列にいることが多いことを利用するのです。あらかじめ、ターンを使うユニットが前列に来ないようにしておきます。

  • 行動ポイントが6溜まるのを待つ。
  • 前列前進(行動ポイント4)。そのあと、おそらく敵も前進してくる。
  • 行動ポイントが8溜まるのを待つ。
  • ターンアンデッド(行動ポイント4)。
  • 魔法のアニメーション中に行動ポイントが6になるはず。
  • アニメーション終了後にすかさずメガコンフューズ(行動ポイント0)

こうすると敵は指揮官だけ前列に取り残され、しかも命令を禁止されているので隊列を変更することもできなくなります。あとはコンフューズが効いている間に死んでもらいましょう。魔法攻撃であがいたりすることもあまりないようです。魔法が怖ければさらにサイレンスまでかけてやれば完璧です。しかも、召喚兵の指揮官は必ず中隊長なので、一個小隊を全滅させただけで中隊自体が消滅してくれます。

【士気】 士気は意外と重要です。士気が低い中隊の兵士は回避率・命中率が低下しますので。士気は、「待機」することによって10(砦の中で待機すれば20)回復します。自分のターンは攻撃を仕掛けずに待機し、相手に攻撃させるのが賢い戦い方です。

【ロスタイム】 集団戦の時間は限られています。しかし、終了間際に魔法をかけると、その魔法のアニメーションが完了するまで戦闘が続くことになります(ただし、命令は出せません)。この「ロスタイム」の間に勝敗が決すると、その魔法自体は無駄になります。決着がつかなければ、魔法の効果は表れます(ただし、補助魔法だと直後に戦闘が終了するので意味なし)。つまり、前列同士の兵種が自軍に有利なとき(敵を全滅させるのは不可能な場合)、回復魔法や士気を増減させる魔法をかけると敵の被害を拡大しつつ、自軍の状態を有利にすることができます。また、あともう少しで中隊長を倒せそうなときはサイレンスやコンフューズをかけるのがオススメです。魔法自体は無駄になりますが、この系統の魔法はアニメーションが長いので、ロスタイム中に中隊長を倒せることがよくあります。少ない戦闘回数で敵を倒せれば自軍の士気を高く保つことができます。

【ドレイン】 自軍ではジロドー専用と言ってもいいドレイン系魔法。敵の魔法抵抗力を落とす魔法です。メガドレインをかけた上に強力な魔法を撃つと、無傷の兵士ですら焼き殺すことができたりします。結果としてMPを温存してくれるので積極的に使いたいところです。ギガドレイン→インフェルノなんてやると魔法に強いはずの暗黒兵ですら全滅させることができますし、何より、気持ちいいです。

【弓攻撃】 敵は弓攻撃を執拗に使ってきます。後半になって弓兵のクラスが上がっているとこの被害が馬鹿になりません。移動を繰り返しましょう。弓攻撃は移動している小隊にはほとんど命中しません。敵はこちらの後列しか弓で狙ってこないので、「後列前進」→「後列後退」を繰り返せばまずダメージを受けずにすみます。「後列前進」よりも「全列前進」の方が効率的ですけど。

-Jun. 6th, 1999

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このセクションは再録時 (2012.9.14) に追加しました。

一応 Amazon へのリンクを張りますが、もちろん品切れですね。廉価版も出たはずだし、中古屋をさがしたほうがよさそうな気がします。攻略本のほうはけっこうはげしくネタばれするし、指揮官のデータがあまり見やすくないあたり、個人的にはおすすめしません。コレクターアイテム気味。