2012/09/15

『悪魔の辞典』 A項修正。

なんども繰り返すようだけれども、やはり『悪魔の辞典』は読めてない。この本との関係は、性格は好きなんだけど何考えてるのかよくわからない友達(恋人でもいいけど)とのお付き合いみたいになりつつある。

今回の更新はウィキペディアへのリンクをセットするのが主要な目的だったはずなのにまたテキストをいじりはじめる諦めの悪さ。でも分からないものはやっぱりわからないなあ。AIM [目的] とか。

細かいのははしょって代表的な変更点はこんな感じ。

ABDICATION [退位]

韻文を訳しなおし。「:」の意味合いをちゃんと汲み取れていないっぽいので。

ところで、角川文庫版のこのエントリ、イサベルの部分に訳注が入っていて、「スペインを統一した女王、コロンブスの後援者、1474-1504」と、イサベル1世を指定してあるのだけど、それは違うような気がする。気になったので "The Unabridged Devil's Dictionary" の注釈を調べると、こちらはイサベル2世。リンクは2世にしておきました。

ABRACADABRA [アブラカダブラ]

韻文。押韻無視でだらっと訳出しました。散文にしてしまってもビアス一流の寓話として読める出来ですし。訳もわりとちゃんと出来たんじゃないかと思います。と、恐る恐る。ちなみに Google 先生に質問すると筒井訳が出ますが、いやあ、これはうまいわ、と思いました。いいかげん『悪魔の辞典』を買うのはやめようと思っていたんだけど、まずい、欲しくなってきた。

ABSENT [不在の]

第4文節 "superseded in the consideration and affection of another" を「親切と思いやりに追い立てられた」ではなく「話題性を失った」に。誤訳を修正して誤訳になった可能性大ですしそもそもかなり強引訳です。つか、"supersede" ってこんな使い方ができるの? とか、"consideration" には "the" がつくのに "affection" に "the" がつかないのはなぜ? とか、正直よくわかってないです。

ちなみに、岩波文庫版はこの文節だけカットしてやがります。ズルイ。

韻文も訳出しておきました。押韻無視。

ABSTAINER [節制家]

韻文訳押韻無視。「節制家」という見出し語が使えていない挙句に面白みが伝わりづらいダメ訳……。

ACADEME [アカデメイア]

見出し語を「アカドューム」から「アカデメイア」に。ウィキペディアにあわせた。

ADVICE [忠告]

「最小流通貨幣」から「はした金」に。シンプル志向。

補足的に韻文を押韻無視で訳出しましたが、これまたうまくいった気がしない。

AIM [目標]

見出し語を「目的」から「目標」へ。「ターゲット」でもいいかもしれません。AIM に「まと」の意味があるのを韻文で利用されているため。

……とオレは信じるのだけど、角川文庫版では韻文の最後の一行 "The fact is -- I have fired." が「実は首になったんだもの」になっていて、う~ん、う~ん、う~ん……。そう解釈するには、"I have been fired." じゃないといけなくないかなあ?

まあ、結論としてはこのエントリに関しては散文も韻文も自信ゼロなわけだけど。

ALLEGIANCE [忠実]

韻文訳出。うまくできてるとは思わない。でも散文が存在しない項目なので韻文を無視するとさびしいので仕方なく。

ALLIGATOR [アリゲーター]

打ち消し線を使ったトリックを除去。わかりにくくなったかな。

"West" が固有名詞なので「西欧」に。でもこれがまた間違いの可能性はある。「西部」ではないと思うけど。

ちなみに最後らへんの「ノコギリアン (sawrian)」は、鰐の背中のぎざぎざを「ノコギリ (saw)」に見立ててそこから「トカゲの仲間 (saurian)」に戻すというアクロバットをしたいんだと信じてる。原文は "From the notches on his back the alligator is called a sawrian." とりあえず英語版ウィキペディアの sauria にリンクして手がかりになればと祈るけれど、でも率直に胸のうちをを打ち明けるとさ、おいビアス、つまんないダジャレで喜んでんじゃねえよ、という気分。かれとつきあっているとときどきそういう気分になる。

なお、 大勘違いの可能性はもちろんあります。

ALTAR [祭壇・供犠台]

"the small intestine" を「小さなはらわた」から「小腸」へ。個人的にはかならずしも小腸ではないと思うのですが、まあ字義通りということで。

韻文を訳出。解釈まじりの訳なので、読み方を勘違いしていればいきおい誤訳となるわけですが、さあどうだ。

ARENA [闘技場]

"rat-pit" ということばがいまいちよくわかっていなかったのだけど、ウィキペディア(英語版)で調べるとなんと画像つきで解説 Rat-baiting が。「鼠穴」から「ラットピット」に変更しました。リンク先は英語版のウィキペディアだけど、絵でなんとなくわかると思う。

これもまた繰り返しの繰言だけど、これの翻訳をしていたころにウィキペディアがあったらどれだけマシな状態にできていたことか。

あとは、record を「記録」とする場合は不可算名詞らしいので、「過去」に変えてみました。ちょっと無理がある? まあ、どちらにしても言いたいことは変わらないけれど。

ASS [ロバ(愚鈍の象徴)]

ウィキペディアさまさま。リンクのない固有名詞は、ビアスの捏造と思ってもらって大丈夫なはず……と言いたいけれど、そこの見切りがむずかしいのがまたビアス。Capasia なんかは何かありそうな気がするけれど……。

「『七人の眠れる人』」になっていたのは初歩の誤訳なのでこそっと直す。

AVERNUS [アヴェルヌス湖]

日本語になっている感じがしなかったので訳しなおし。

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