旧「謝辞:ごめんなさいとありがとう」より再録。
「影と光」でロンドンを初めて読んだという人が多かったらしく、ロンドンがああいうのを書いていた人だと思われたら困るな、というかべつにオレは困りもしないんだけど、いろいろ(その人にとって)不都合なことになりそうな気もしないではなかったので、精読をかねてロンドンの代表的短編をやることにした。「焚火」という邦題で有名な、モームの小説百選にも選ばれているやつ。ちょっとアラスカの気候風土が分からなかった、というかアラスカどころでなく雪というもの自体が身近にあるわけではない(当方3センチの積雪で交通麻痺する南国生まれの南国育ち)ため、あんまり出来はよくないかと思います。はっきりいって、全編にわたりオレが雪の世界に抱いている虚像にまみれているんじゃないかと。でも実際よく分からなくって。寒いと手を体に叩きつけるものなの? 題名については……「焚火」で通そうかどうか迷ったんだけど、やっぱり動詞でないとだめだと思う。この小説の本質は「何が起きるか」ではなく「何をするか」だと思うから。だからといって「焚き火をする」じゃのどかすぎるし。
不明部分を調べてみるとネイティブの間でも分からんという話題になってた。cross a wide flat of nigger-head っていうところ。しかも結論が「当時の North People に使われていたスラングで、なんつーかこう、木の幹とか根とかがうじゃうじゃ絡まっているみたいな場所? そんな感じ。でもリソース失念」とかだった。とほほ。
ちなみに翻訳元のテキストは 1908年発表の 2nd Version。既訳は読んだことがないんで、日本ではどっちが有名なのか知らないけど、1902年発表の 1st Version はけっこう話が違う。個人的には 2nd Version のほうがよいと思う。
結城浩さんよりお知恵を拝借。感謝。
0 件のコメント:
コメントを投稿