さて、ようやく15章にたどりつきました『ゼンダ城の虜』。当初、章題を「誘惑者との語らい」にしましたが、素直に「私は誘惑者と語らった」のほうがよさそうなので直します(そのうち)。
おおまかにわけて3パートある章ですが、やはり見どころはルパート・ヘンツァウ。つくづく、ホープは素晴らしいキャラクターを生み出したもんだと思います。ここでラッセンディルが誘惑に乗ったとしても、それはそれで面白い物語になりそう。
翻訳上は、残念ながら怪しいところの多い章となってしまい……。とりあえず2つ備忘がてらメモっておきますか。
ひとつ。
and I, riding down one day with Flavia and Sapt, had an encounter with an acquaintance, which presented a ludicrous side, but was at the same time embarrassing.
"ludicrous" なんて単語が出てこれる文脈じゃないと思うのだけど。"but..." の先にある "embarrassing" (当惑する)とは反対側のニュアンスを含むはず……。だけど、「笑える」とは違う気がする。なにかこう、つかめないところ。
ふたつ。
"Get out of my reach!" said I; and yet in a moment I began to laugh for the very audacity of it.
というラッセンディルのセリフに続く文章の最後がなぜ "it" なのか、ちょっとピンとこないのです。"his" じゃないの?
まあ、どちらも物語の道筋に大きな違いの出るような所ではないので、例によって適当に処理しておきます。
次章は、ちょっと遅れそうかなあ。訳自体はできちゃおるんですが、もうちょい見直したく。でもそれより前にやりたいこともあったりで、結局5月ころになるかもしれない。そうなると、どうやら今年中には最後までいきつけなさそうですね。