2013/01/22

オー・ヘンリー『警官と賛美歌』修正。

最近急激にアクセスが増えておりますが、久しぶりに読んでみますと単純な間違いを見つけてしまいましたのでとりあえず手直しを入れておきます。

誤:夜な夜な集まってまくる場所である。
正:夜な夜な集まってくる場所である。
【集まってまくる】

誤:感謝際に婦人伝道師から送られたちゃんとした既製品だ。
正:感謝祭に婦人伝道師から進呈されたちゃんとした既製品だ。
【感謝際】、【送られた】
送られた、は typo ですが、ついでに表現を改めます。

誤:夜までの間あちこちで見うけられる地区で、足を止める。
直後の改段落をとります。

以上3点。他にも翻訳自体を直したい部分が見えますが、今回は見送りということで。

2013/01/21

ジャック・ロンドン『世界が若かつた時』(和気律次郎訳)公開

これまたここに書くのが遅れてしまいましたが、年始頃に、ジャック・ロンドンの短編小説、『世界が若かつた時』を公開いたしました。翻訳は、オレではなくて、和気律次郎 (1888 - 1975) によるもの。近代デジタルライブラリーで公開されている英米七人集 : 清新小説を底本として入力しました。

まあ、自分で翻訳していないこともあってあまり思い入れのない作品であり、物語として面白いかというと、いや、そうでもなかったかもな、と思わなくも。「影と光」に同じく、ジャック・ロンドンのお得意の筋書きのひとつ、とりあえず戦って決めようぜ的な感じです。いろいろ細かく設定を作るのに、なぜにこんな雑な展開の物語にしてしまうのか、オレ的にはなんだかもったいないなあ、と思うのですけれど。流行作家のつらいところなのでしょうかねえ。

そして翻訳としても、1922年のものですのでスタイルが古めかしい。「彼」がものすごく多いし。旧字旧仮名ですし。というか、旧字旧仮名なんだけど、ところどころ怪しいところがあったり。正直、オレあんまりこの辺の時代の文章作法をまるで知らないんですが、「煌々」に「くわうくわう」とかなを振ったかと思えば、そのしばらくあとで「こうこう」ってふったりしてるんだけど、この統一感のなさは誤植なの? それとも素なの? よくわかりません。

そんな不勉強な状態ながら、この入力作業というやつもなかなかおもしろい経験でした。この字って昔はこう書いてたのかと、改めて思うこともたびたび。読むときにはなんとかついていけるのだけど、いざ自分が使うとぜんぜん印象が違うもので、「寝」と「寢」みたいな、なんとなく見ていたのでは判別できないくらいほんの微妙な字体の違いを改めて知ったりとか。

と、古い翻訳ではあるのですが、和気律次郎は1975年没とえらく長寿だったようなので、著作権はまだ保護期間内にあります。近代デジタルライブラリーでは「著作権法第67条第1項により文化庁長官裁定を受けて公開」となっているため、ほんとうはこうやって勝手コピーをしてはいけないものなのだけれども、あえてやってしまおうと、まあそういうあれです。違法といえば違法な状態ですので、よい子のみなさんはあまり近づかないように。

この67条1項というのは、つまり、著作権者がどこにいるかわからないので再利用の許諾が取れませんという状態で、それでも使いたいので国に保証金を預けて利用する、という感じの、便法的な、あるいは裏技的なやりかたで、近デジとしてはそれでライセンスの処理を済ませているわけだけど、ただオレの思いとしては、せっかく公共的な性格の強いはずの機関でその便法を使うなら、公開するだけじゃなくて、自由に再利用してよいよ、というふうにしてくれたらいいのになあ、恩恵を自分達だけで握りしめてないでもっと広く浴びせかけてよ、という気持ちがどうしてもする。だって、もったいないじゃない。

とかく申せども違法状態であることは否定ができないところでして、まあ、著作権の侵害が親告罪であるうちは強引に中央突破できるとたかをくくっているわけですが、この辺も将来的にはどうかわからないところ。なので、今後和気律次郎らの翻訳をテキスト化するかというと、たぶんないと思います。これが青空文庫に投げられるなら、ちょっと真摯にがんばってもよいのだけど。

ただ一つ失敗したと思っていることを言うならば、どうせ和気律次郎訳ジャック・ロンドン作品を入力するなら、『強者の力』の表題作か「生命の法律」にすべきでした。とくに「強者の力」は、翻訳がかなりおもしろくできている感じがするので、ロンドンに興味があるなら、ぜひ読んでみてほしいなと思うところです。

参考リンク

2013/01/06

『ゼンダ城の虜』第14章、公開

第14章:城外の一夜をここに公開もうしあげます。……っていうか、公開したの去年の11月なんですが、ここになんにも書いてないことに気づいたりしましたので、いまごろになりました。それはもう文字通りに、よいお年をが一つすっ飛んであけましておめでとうございましたくらい今更になりましたが、まあまあ、オレのやることですもの、よくあることです。

14章は、9章以来のアクションシーンとなります。んで、死人もちらほらと出て参ります。んでんで、やっぱり見どころはルパートなのですよねえ。格好良くできてますかどうか、ちと不安の残るところではありますが。

で、ちょっと twitter で先行して翻訳についていろいろ言ってたのをもう一度。

結局、この読み方でいくことにしました。アクション的に見栄えしてルパートっぽいし。もちろん、馬ごと飛び込んだという読み方もできなくはないのだけど、いや、馬が泳いで(?)渡れるようじゃ濠の意味をなさないよね、と思うわけです。

……とはいえこの章の最大の謎は解決されないままに残ります。ラッセンディルは一体何をしにきたのか。

王さまに接触するため……「話しかけようとはしなかった」。

王さまを脱出させるため……土管を破壊できる状態だったにもかかわらず何もしなかった。

情報収集……マックス・ホルフを殺しちゃ駄目でしょ。

というわけで、じつはオレにとってこの章は存在意義のよくわからない部分であって、ちょんぎったってさしつかえないような気さえもするのでした。