1998/10/22

[ゲームレビュー] シヴィザード ~魔術の系譜

旧「がらくた玩具」から再録。

  • ジャンル:SLG
  • メーカー:マイクロプローズ
  • ハード:PS [DOS/V]
  • 一般的オススメ度:★★
  • オレ的お気に入り度:★★★★★

短評

プレイできる人を厳しく選ぶゲーム。以下の条件を満たせない人は手を出さない方がよいかも。

  1. シヴィライゼーションを面白いと思う。
  2. ファンタジー用語、とりあえずは「マナ」という言葉が分かる(Magic: the Gatheringをやったことあるってのがベスト)。
  3. 不親切な説明書に耐えうる。
  4. メモリーカードに余裕がある
  5. 長めのロードに耐えうる。

以上。

総評

名作SLGシヴィライゼーション」の姉妹作といった所かな。ただし、シヴィライゼーションは新しいテクノロジーを開発してゲームを進めていきますが、シヴィザードでは新しい魔法を開発してゲームを進めていきます。つまるところ、テーマが科学戦争から魔法戦争に移ったってことです。ゲームの目的は配下の種族を動かして都市を建築、運営して主人である魔導士に力を貯えさせ、自分以外の魔導士を封印・支配してしまうことです。おおまかな流れはシヴィライゼーションと同じように、街で軍隊を作り、敵の都市を侵略して行くわけですな。もちろん、舞台はファンタジーなわけですので、召喚したクリーチャーを行軍させたり、敵の兵士を呪い殺してみたりするのも可能です。

シヴィライゼーションにおけるテクノロジーの位置に魔法が座っているわけですが、役割はちょっと違います。テクノロジーは、それによって新しいユニットが生産できるようになるだけと言ってもよいのですが、魔法はもっと直接的です。使わなければ存在していないのと何ら変わりはありません。実際、低難易度設定にすると一切魔法を使わずに勝利するのも不可能ではありません。とは言え、やはり魔法は重要です。たとえば、部隊のヒットポイントを回復させる「治療の言葉」という最も簡単な魔法の一つでも、戦況を大きく覆すだけの力があります。テクノロジーとは違って開発する順番にかなり自由が効きますので、個人の好みで呪文書を埋めて行くことになります。強力な魔法と、それを自由に操れるスキルが備わったとき、このゲームは真の面白さを見せてくれるでしょう。

ただ、ゲームとしては非常に優れているのですが、まず一般的には受け入れられないでしょう。ユーザーを突き放しているとしか思えない点がいくつか見受けられるからです。まず、出てくる用語がやや専門的な傾向があること。これは仕方のないことかもしれませんので「慣れてくれ」としか言いようがないのですけど、その難しさを助長する説明書の不親切さ。確かに、基本は分かります。でも、肝心なことがイマイチ分からない作りになっていて、たとえば、種族ごとの制限がうまく説明されていません。で、選んでみてから「え、このユニット作れないの?」ってコトになるわけです。その上、非常に大事なシステムであるはずの「都市における施設がもたらす影響」の説明がまったくありません。一応オンラインヘルプで参照することも可能ですが、これは「今建てられる施設の説明」しか引き出せず、その先が分かりません。最初のプレイするときは何も分からないので、計画的な都市建設は不可能ということになります。シヴィライゼーション(98版)にはちゃんとフローチャートが付いてたんですけどねえ。オンラインヘルプといえば、翻訳のまずさも目立ちます。Skillを「スキル」と呼んでみたり「力量」と呼んでみたり。「リサーチポイント」と「研究ポイント」とか。訳語の統一くらいやってください。基本です。Skillは本当に混乱させられたぞ。

それからCDのロードの長さも気になります。それは仕方がないのかもしれませんけど、セーブ機能がちょっと苦しい。要メモリーカード7ブロック。確認しなかったオレも悪いのですけど、新しく買うはめになったよ。セーブに一分くらいかかります。それを補う「クイックセーブ」がありはしますが、戦術モードに入るとクリアされるのでえらい使い物になりませぬ。メモリの問題でしょうから仕方ないんですけど。それ以前に、頻繁にセーブするゲームスタイルは邪道ですけどね。

以上、文句ばっかり書きましたが、このゲームは買いです。とっつきが非常に悪いのですけど、一度理解すればかなり長く遊べると思われます。

-Oct. 22nd, 1998

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1998/10/05

[ゲームレビュー] 女神異聞録ペルソナ

旧「がらくた玩具」から再録。

  • ジャンル:RPG
  • メーカー:アトラス
  • ハード:PS [Windows95]
  • プレイ状況:「セベク編」「雪の女王編: タナトスルート」クリア / プレイ時間 99:59+
  • 一般的オススメ度:★★
  • オレ的お気に入り度:★★★★

短評

以下の条件に三つ以上適合する人にのみ勧めます。
  1. 忍耐力に自信がある
  2. 時間が有り余っていて、徹夜が苦痛でない
  3. 女神転生が好き
  4. マッパー君(後述)でない
  5. スタンドが好き

なんか、オレ自身が適合しないねえ。

総評

 難しい、というか厄介な RPG。ふだん懇切丁寧なゲームばかりやっている人にとってクリアは不可能と思われる。原因は、極端なまでのセーブポイントの少なさ。しかも戦闘にかかる時間が長い敵の出現率がやや高い、その上移動手段が徒歩しかないカスゲーと言われても仕方のない要素が満載。

 そして、これは女神転生シリーズに共通して言えることだけど、操作性が悪い。通常は3D画面なんだけど、クォータービューモードに入ると、どのカーソルがどの方向に対応しているのかさっぱりわからん。要は慣れの問題とは言え、最初はかなりのストレスを感じました。

 苦言はこの辺で止めて、ゲーム自体を軽く紹介しておくと、女神転生であって女神転生でないゲーム、だね。「異聞録」だし。このシリーズは敵を交渉によって仲間(仲魔と呼ぶ)にして共に戦ってもらったり、また別の仲魔と合体させてさらに強力な仲魔を作りつつ進めて行くというゲームなのだけど、ペルソナでは仲魔が存在しない。悪魔と交渉してスペルカードを入手し、スペルカードから「ペルソナ」を作り出す。で、主人公たちにペルソナを降ろし、発動する。ペルソナといっても何がなんだか分からないだろうからもっと分かりやすく言うと、要するに「ジョジョの奇妙な冒険」のスタンドと同じようなものだと思っていいかな。ちなみにこのゲームでのペルソナは「人の精神が形を取って表れたもの」なのだが、それに神や悪魔を割り当てたのは、やはり女神転生のセンスです。

補足:ペルソナ persona とは「仮面」という意味で、ユングの心理学用語でもある。「個人」という意味の単語、person の語源。

 シナリオは、やはり女神転生なのだから、かなりヘビーな仕上がり。舞台範囲が従来より狭いとはいえ、そのぶん深いストーリーです。

 仲魔が存在しないから主人公たちが"生きた"女神転生であり、その辺りはすごく好き。悪魔の説得にしてもそう。従来は悪魔側が話の主導権を持っているのだけど、ペルソナでは基本的に話を切り出すのはこちら。しかもこれが変なコマンドが多い。

    例:なんじょうくん(金持ちのボンボンなエリート様。高校生だけど)
  1. 演説する
  2. 一喝する
  3. 物でつる
  4. 皮肉を言う

 なんじゃこりゃ。いちばん無難そうな「物でつる」を選ぶと「俺様のサイン入りブロマイドをやろう!」「土地か? 株か? 好きなものを言ってみろ」。おいおい.....。挙げ句の果てに「表と裏が逆の10円玉をやろう!」。"つる"気があるのかそれはッ。余談。「表と裏が逆の...」はかなり昔のドラえもんに出てくる話ですね。

 さて、シリーズの売りである悪魔合体のお話。「真II」「if...」「デビルサマナー」をちゃんとプレイしていないオレにとって初めての「継承」や「遺伝」がある悪魔合体だったので結構楽しめました。でも攻略本がないと無理だね、こりゃ。ペルソナが成長するってのもポイントが高い。潜在能力を使えばいくらでもランク(レベル)を上げられるので卑怯なほど強いペルソナも可能。ラストダンジョンの敵すべてを1ターンで片づけてくれるFOOLナルカミとか。あ、そうそう、ペルソナがこれまでの悪魔種族分類(妖精とか聖獣とか)じゃなくてタロットカードで分類しているのもナイス。「伝説のオウガバトル」以降、すっかりタロット好きになってるから。

 そろそろまとめるか。結論としては移動魔法(トラエスト、トラポート)が欲しかったセーブポイントを適宜出して欲しかった。特にデヴァ・ユガで。ここって3つのダンジョンを一気に攻略するはめになるんですけど、セーブポイントなしだとマッパー君には無茶苦茶辛いです。ぼやきにもあるけど、10数時間かかったぞ。ストーリーはかなりいいので是非遊んで欲しいゲームだけど、ね。

補足:「マッパー君」とは、オートマップをすべて埋めるために行き止まりと分かっている道でも壁にぶつかるまで歩いていかずにおれない人たち。およそ不毛。

-Oct. 5th, 1998 > Mar. 12th, 2000

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このセクションは再録時に追加しました。

[ゲームレビュー] フロンティアユニヴァース

旧「がらくた玩具」から再録。

  • ジャンル:SLG
  • メーカー:ビーピーエス
  • ハード:PC9801
  • プレイ状況: 1回クリア / プレイ時間 30時間くらい
  • 一般的オススメ度:★★★
  • オレ的お気に入り度:★★★

短評

 宇宙物が好きな人は必須。

総評

 宇宙の覇権を目指して回りの星を吸収合併していくゲーム。全宇宙統一すれば勝利。

 ウリとなるシステムはやはりコミュニティユニヴァース。言ってみれば国連のようなもので、戦争ばっかりやる星に経済封鎖や追討令を下したり、災害で被害を受けた星に資金援助を決定したりする。400年に一度しか開かれないし、別に追討令が出ても余裕で生き残れてしまったりするんだけど、これが何か楽しい。特に本会議前のロビー。みんなでいろいろと謀略を巡らします。これにしても決定力に欠けてはいるのだけど、やっぱ雰囲気があります。コミュニティユニヴァースの決定を無視するのも可能だけど、あえて純朴なほど守ってみることをお勧めします。コンピューター勢力は追討令が下っても一度だけ艦隊を派遣するだけなので簡単に各個撃破されてしまいますけど、滅ぶまで何度も艦隊を派遣してやりましょう。銀河の秩序を守るのはオレだけだッ! という孤高な気分になれること請け合いです。自ら戦争を仕掛けてはいけません。他の星を支配するときは武力ではなく経済力に物を言わせて買収しましょう。

 もちろん、逆に戦争ばかり行って銀河の荒くれになるのもよいです。他の星の防衛ラインを突破したら勿論迷わず焦土作戦です。「はっはっは、やれるものならやってみろ.......まさか! キサマたち、本気かッ! うわぁー!」という負け犬の叫びが聞けることでしょう。そして、追討令に従ってやってきた数を頼む弱虫どもは完膚なきまでに叩きのめしてやりましょう。銀河の帝王な気分になれること請け合いです。「弱すぎるわ、下等な○○めがッ!」とモニターの前で叫ぶのもよいでしょう。○○にはその星人の元種族を入れましょう。キーン星人なら「ポンコツロボット」、アラン星人なら「クジラ」、アース星人には「サル」など。

 こういう楽しいゲームなのですけど、非常にマズイ点があります。まず、後半戦がだるいこと。銀河の1/3ほどを支配(買収)してしまうと後はもう完全な作業になります。大抵の人はこれに耐えられず止めるのだそうです。オレは気合でクリアしましたけど。

 それから、兵器ですね。結構種類が多くて集める楽しみってのもできそうなので、支配下の星で開発された兵器が本星でも使えるようにして欲しかった。個人的にこれは非常に残念。兵器を集める楽しみがあれば後半戦のだるさも乗り切れそうな気がするから、さ。

-Oct. 5th, 1998

[ゲームレビュー] 妖撃隊 ~邪神降魔録

  • ジャンル:RPG
  • メーカー:日本テレネット
  • ハード:PC9801
  • プレイ状況 2回クリア / プレイ時間不明
  • 一般的オススメ度:★★★★
  • オレ的お気に入り度:★★★★★

短評

 超能力物が好きな人は必須。それ以外の人でもRPG好きならやって欲しいところ。

総評

 舞台が現代日本という珍しい設定のRPG。といっても超能力バリバリなんですけど。まあ、「1999年に恐怖の大王が...」っていう大筋はありきたりなストーリーです。実際、ストーリーは大して見るところがないですね。複数の小シナリオをこなしていくことで大きなストーリーに繋がって行くタイプのRPG。そういう意味では、「ロマンシング・サガ」と近い。

 注目すべきはそのシステム。各キャラクターがそれぞれ技能を持っていて、これに成功するか失敗するかでシナリオの展開が変わってきたりする。たとえば敵を追いかけるシナリオで [追跡] に失敗するとかなり苦労するはめになったり、さらわれた子供を救出するシナリオで [交渉説得] に失敗すると子供に信頼してもらえず、本部との間をいったりきたりするはめになったりする。ま、RPGは原義的にそういうゲームなんですが。

 これによって各キャラクターの差違化がうまく表現できており、キャラ独自のセリフとかがない割に思い入れの強弱に差が生まれてくる。違いは初期設定と顔と名前くらいしかないんだけどね。

 ただ、惜しまれるのはストーリー性の薄さ。これだけ魅力的なキャラクターを準備できてるのにそれを生かしきれてない。約20人の隊員の中でシナリオに絡んでくるのは(オレが知るかぎり)たった二人。もっと色々できたと思うんだけどねえ。後半になるとイベントが発生せず、ただ日時送りを繰り返すだけになってしまいがちなのも痛い。

 ゲームとしてはうまくまとまっていただけに、移植なんかしてもらえると喜ばしいんだけどな。追加シナリオつきでね。

ちょっとしたTips

 [召喚] がよく分からないという人のために。初期状態では「インプ」しか出せません。しかし、狂信者たちの魔法陣を利用することで新たな魔物と契約を結んで召喚できるようになります。契約を結ぶためには、異界黙示録の研究がある程度進んだ状態で、魔法陣のある部屋に [召喚] ( [神秘学] でもよかったかな?)を持つ隊員を連れて行く必要があります。該当者がいないと魔法陣を破壊してしまうのでダメです。[召喚] なんて誰も持っていないという場合は、[破魔] や [気功] を上げてやると「インプ」を覚える隊員がたまぁにいるので、がんばってとりあえず「インプ」を覚えさせ、それから「インプ」を乱用して [召喚] のレベルを上げましょう。

 豊田望が独りで探索しなければならないシナリオがあります。難しいです。すぐ死ぬし。豊田らしく [破魔] を高くしてから臨むという手もありますが、オレは [射撃] を高くしておくことをお勧めします。 [射撃] があればハンドグレネードを撃ちまくって逃げ切れます。三節根を取り忘れないように。

 [交渉説得] は使用頻度が高く重要度も高い割に成長させにくいスキルです。探索班4人のうち一人はこのスキルを持っている隊員を入れておきましょう。

関連リンク

-Oct. 5th, 1998 > revised: Nov. 4th, 1998